マスターとミッチェル杉下さんは、ゴブリンキングに大敗北したのぼるズにも、容赦なく商売をしました。


「俺達が通りかかって良かったな……うぷっ! 金は後でいい。回復薬はどうだ?」


「お前ら、武器を奪われたのかよ。ここで会ったのも何かの縁だ。二割増しだが、ハンドアックスと鉄の剣を譲ってやろうか? ここから村に戻るまでに魔物に襲われたら、戦えねぇからな。おえっ!」


うんこの匂いに吐きそうになりながらも、頑張って商売をしていますね。


商魂たくましいというか、外道というか。


状況を知っているだけに、マスターとミッチェル杉下さんが悪魔に見えたりもします。


ですが、これがお店屋さんのお仕事なんですね。


私も心を鬼にしなくては。


「う、うう……なんて良い人達なんだ。ごめんよ武器屋のマスター! 武器が高いって、カウンターに鼻くそを付けたりして!」












そんな事をしていたんですか、のぼるは。


「俺の日頃の行いだな。そうでなければ、こんな森の中に人がいるはずがない。やはり俺こそが神に愛された勇者なんだ」




……いや、のぼるズがこのタイミングで来なければ、もしかしたらゴブリンキングは鋼鉄の剣を手にしなかったかもです。


神に愛されているどころか、神に唾を吐きかけられていますね。