「マスター、今何か言いました?」


「いや、俺は何も。ミッチェルじゃないのか?」


「俺のせいにするんじゃねぇよ。なんか、あっちの方からか細い声が……」


と、ミッチェル杉下さんが指さした先には、ハエがたかり、異臭を放つ塊が。


これは……腐った動物の肉に、ゴブリン達のうんこですね。


その塊の中に、頭から逆立ちをするように突き刺さっている人と、首だけが出ている人の姿が。


あー……のぼるズです。


しかし、よりによってまたうんこまみれですか。


のぼるは本当にうんこが好きですね。


「こいつら……本当に伝説の勇者なのか? ゴブリンのうんこの中に突っ込まれる伝説の勇者なんて、聞いた事がねぇぞ?」


ミッチェル杉下さんだけじゃなく、私も聞いた事がありません。


きっと、神様の気まぐれで、のぼるが生まれてきたに違いないのです。


「まあ、仕方ねえな。助けてやるか」


そう言って、マスターはのぼるズをうんこから引っこ抜くと、草の上に置いたのです。


「うぅ……闇が……闇が迫って来る!」


のぼるはそればかりですね。


うんこの中に頭から突っ込んで、それしか感想が出ないのが凄いですね。