「柊っ! なんで、来たのっ……私の家は危ないって知ってるでしょ!」

「うん知ってる」

「じゃあなんで……なんでこんなことしたの? 結界触れたら死んじゃうかもしれないんだよっ」


それくらい知ってるよ。一応、妖界で権力があるのは鬼の一族。警戒しなきゃいけないってこと知らないはずはない。


「それでも会いたかった、碧に伝えたいことあったから」

「えっ、伝えたいこと……?」

「俺は、将来鬼神となる。そのために捨てなくてはいけないことがたくさんある。でも、どうしてもキミだけは捨てたくないし諦めることできない。」


俺は、ずっと居心地の良い空間から居座っていた。自分の立場から逃げてばかりだった。だけどもう、逃げるのはやめるんだ。