「うぐっ!?」


 望んでいないと分かっていて、実行した。

 彼の理想通りに動くときは、私が彼の理想を叶えてあげるときだけ。

 新品の紙パックの牛乳にストローを差し、彼の口に無理矢理加えさせた。


「残り時間は三分です。この程度の量、飲みきるのに一分もかからないでしょう。自己満足に栄養を補給し、早く生徒を迎えるべく観察体制に入ってください。あなたのすべきことは――学校の運営です」



 これは、学校運営・シミュレーションゲーム。

 私達はプレイヤーとして、生徒達を名門校へと導く。


 私にセーブボタンはない。

 ポーズボタンはある。


 このポーズを解除すれば、時計の針は動き出す。

 私の親の一人とも言える、今城先生の生徒達が、登校してくる。


「準備はいいですか?」


 苦手な飲み物を流し込んで、味覚で拒否反応を起こしているようだ。既に先生は疲れ果てていた。


「さあ――始めますよ」


 チャイムが……鳴り響いた……。