結局上に上がっていく人間ってのは、決まった奴らだってことだ。

そこに斬り込んでいって倒すことなんて、絶対に出来ないようになっていて、そんな無茶をするより、適当に仲良くやって、賢く仲間にしてもらう方が、楽に簡単にすんなりあがれる。

分かった。

今からでも、頼みにいけばいいんだ。

悪いんだけどさ、俺のも困ってるんだよね。

どうしたらいいのかな。

素直にそうやって、頭下げにいけばいいんだ。

鹿島はいいヤツだよ、知ってるよ。

勝手に妄想を膨らまして、勝手にライバル心燃やして、勝手に嫌ってるのは、俺の方だけだよ。

それはいいアイデアだ。

きっと鹿島なら、真面目な顔して言うよ。

先輩のは凄いですって、それが本心だって、さすがの俺にも分かるよ。

で、ちゃんと本気で直してくれるよ、考えてもくれるよ。

そんで仲直りも出来て、いい感じの部活になって、大会にも出場して、鹿島のマシンが優勝して終わるんだ。

そっか、俺、こんなに頑張る必要なかったんだ。

まぁ元々そんなに頑張ってなかったし、勢いで始めちゃっただけだし、一度は断った大会だし、そんなこだわりないし、失敗して恥かくよりかは、上手く立ち回って仲直りして、相手をたてて、丸く収める方が、いいよな。

とにかくその方がラクだし。

賢いし。

正解だし。

傷だらけの黒くかすんだテーブルの上に、ちっぽけでつまらないマシンが転がっている。

なんだ、やっぱつまんねーな。

コイツのコト、どうしよう。

伸ばした指の先で、マシンの先端にそっと触れる。

滑らかなその金属の塊は、俺の体温よりも低くて、俺はこの半年近くを、何をしていたんだろうと思う。

「ま、仕方ねーか」

本体を持ちあげて、ひっくり返す。

裏を見ても、どうにもならないんだった。

そうだ、的だ、的の方だった。

こんなところで、どうこうするその前に、やらないといけないことが、たくさんある。

俺は黙って、的の修正を始めた。