「ロボコンに出たいんだったら、入る高校間違えてるって、教えてやれよ」

俺がそう言ったら、山崎は笑った。

「ま、お前ならそう言うよな」

「お前だって、谷先輩から声かけられた時、やる気ないって言ってただろ」

バカらしい。

当たり前の話しだ。

あの内容の難しさが分からないことの方が、出場うんぬんの前に、致命的だ。

俺はため息をついて、窓の外を見る。

鹿島たちは、4月に発表されたばかりの今年のルールブックを広げて、なんだかんだと無駄なアイデアを出しているようだった。

「てゆーか、まだ正式に入部が認められたわけじゃないのに、なに盛り上がってんだろうな」

「え? あいつら全員、入るんじゃないの?」

「仮入部期間は正式な部員じゃないだろ。改めてちゃんと入部届け書かないと」

「あぁ、まぁな」

山崎は頭をぼりぼりと掻く。

俺は当然に当たり前のことを言っている。

それまでにニューロボコンへの参加とか、バカみたいな夢を諦めてくれないかな。

じゃないと、あんなのが全部入部してきて、熱く語りだしたりしたら、うっとうしくて仕方がない。

「ま、仮入部の間に、色々考えたらいいよ。うちが出せる部費なんて限られてるし、つーかほとんど予算ないし。俺、ああいう熱血系は苦手なんだよね、分かるだろ?」

俺がそう言ったのに、山崎はヘンな顔で笑った。

コイツなら、俺の気持ちを分かると思ったのに。

山崎はすぐに賛同もしてくれず、うつむいたままだった。

理科室のドアがガラリと開く。

「うわ、どんな奇跡が起きてるわけ?」

入ってきたのは、奥川だった。

「どうしたの? こんなに人口密度が高いのって、初めてじゃない?」

奥川の言葉に、侵入者たちは笑った。

「はいコレ、年間活動報告書。取りに来てないの、あんたんとこだけだよ」

奥川はなんだかんだと文句をいいながらも、結局は俺たちが困らないように、ちゃんとしてくれる。

「あぁ、ゴメンゴメン悪かった」

へへっと笑って誤魔化したら、彼女は呆れたように息を吐く。

「もう2年生になって、正式な部長になってるんだから、そろそろそういう手は通用しないからね」

「はいはい、すみませんでした」

彼女の黒く短い髪の先が、わずかに頬にかかっている。

彼女はゆっくりと振り返って、鹿島と目を合わせた。

「キミは新一年生? ここに入部するの?」

「はい。そうです」

部長の俺が許可したわけでもないのに、もう勝手に入ったつもりになっている。

まぁ、入部希望者を拒否することは出来ないから、もし入部してきたとしたら、自分から出て行ってもらうしか、ないわけだけど。