「これって、ワイファイつながってんの?」

「う、ううん」

本当はつながってるけど、ここは適当にごまかしておく。

てゆーか、俺と山崎の秘蔵な画像が山ほど入っているパソコンを、あまり見られたくはない。

「てか、何しに来たんだよ。1年と、なにをもめたの」

「そんなこと、いつ誰が言った?」

奥川の眉間にしわがよった。

マズイ、緊急回避だ。

「ま、いいんじゃないのかな。別にお前が気にすることないって。どうせ、たいしたことないだろ?」

「ホント、あんたって、いっつも適当なことしか言わないよね」

「ちが、違うって!」

「あ~、もういい。じゃあね。私はもう帰るから。なんか言われたら、適当にそう言っといて」

奥川はここへ来たと時のテンションを取り戻し、怒りMAXで理科室を出る。

なんだよ、やっぱり1年と何かあったんでしょーよ。

正解したのに、なんで怒るんだ。

ため息をつく。

邪魔をされて、すっかりやる気をなくした俺は、手にしていた部品をテーブルに放り投げた。

奥川との関係も、ちゃんとさせないとなぁ。

なんだかんだで再び作業を始めて、俺はマシンの骨組みとなるパイプを磨くだけに、2時間ちかく費やしていたことに気づく。

我に返って再び放りだしたそれは、カランと空っぽの音をたてた。

ピカピカにはなったけど、きっと滑らかに動くようにはなっただろうけど、そこに至るまでがまだ全然出来てないのに、なにやってんだろ。

反り返って見上げた空は、やっぱりどこまでも高く青く澄んでいる。