「予算ね、お前が生徒会本部に申請してもらったカネには、手をつけないようにするよ。なんなら明日、全額下ろして、お前に渡す」

うん。

そうすれば、マシンが出来なくても、いい言い分けになるかも。

「だったら、俺たちに邪魔される心配もなくなるだろ?」

「俺は、一緒にやろうって言ってるんです!」

アホか。

なんで自分のバカがばれるようなマネ、誰がするかよ。

「いいから、今日はもう帰れ。お前と話し合うことは何一つないし、俺はお前らと仲良く一緒に、マシン作りをする気もない。これっぽっちも、欠片も、1マイクロも、ないからな」

鹿島はまだ、何かを言い足りないようだった。

だけど俺だって、これ以上コイツの話なんて、聞きたくもない。

無視して片付けをしていたら、鹿島は握りしめた拳をそのままに、理科室を飛び出していった。

やれやれ。

やっと静かになって、さっきまでの鹿島の顔を思い出す。

よくよく考えてみたら、なんであいつは、自分より格下の俺なんかを、そんなに構うんだ? 

絶対にヒーロー気取りだろ。

それ以外に、何もないよな? 

うん、何もない。何もないはずだ。

何もないから、だからまた余計に腹が立つ。

俺はあんな風には、絶対になれない。

鹿島と並んで歩きたくないほど、俺はあいつのことが嫌いだ。