鹿島たち1年軍団が、何をしているのかは知らない。

だけど、俺たちだって伊達に電子制御部をやっているわけではない。

彼らの拠点とする体育館倉庫を避け、遠回りした門から外に出る。

理科室にはすっかり寄りつかなくなっているから、そのあたりは楽勝だ。

ネットで部品を調べて、そのまま簡単に注文しちゃってもいいけど、やっぱり実物を見て購入しておきたい。

検索で出てくるありとあらゆる型番や材質を調べ、これと目星をつけたものをさらにネットで検索する。

マシンの要となるボールの押し出し部分は、圧縮空気を利用したエアシリンダーを使うことにした。

内部に2本のシリンダーを直列させ、出力を強化したタイプのシリンダーだ。

学校近くの大型ホームセンターに、目当ての部品があることを事前に突き止めた俺たちは、早速そこに向かった。

様々な部品の並ぶ棚を、山崎と二人あーでもない、こーでもないと言いながら、見て回るのはとても楽しい。

「うわ、なにコレ、こんなのあった?」

「さらに小型化が進んでんだな」

「出力も上がってね?」

銀色にピカピカと光るボディーを横たえて、華麗に誘惑してくるその魅惑的な吸引力には、どうしたって逆らえない。

いつの間にか本来の目的であるシリンダーのことは忘れて、モーターや動力源となる乾電池回路の話しになっていた。

ゆっくりと商品棚を移動する。

「あれ? 吉永部長と、山崎先輩?」

聞き覚えのある声に振り返ると、鹿島とその仲間たちが立っていた。

「こんなところで、どうしたんですか?」

「いやぁ、俺たちもニューロボコンに……」

あっさりと口を割ろうとする山崎を、慌てて押しのける。

「別に。買い物に来ちゃ悪いのかよ」

「そういう意味じゃ……」

背の高い鹿島がうつむいたところで、俺からはその表情は丸見えだ。

鹿島はわずかに赤らめた頬を、横にそらす。

「ちょっとね、俺たちも何か作ってみようかと思ってな」

「ニューロボコンに出るんですか?」

そう言ったとたん、パッとうれしそうな顔をするコイツが、だからたまらなく嫌いなんだ。

「お前らには関係ない」

そう言いきって、鹿島を見上げた。

鹿島はぐっと口を結んで、まだ何かを言いたげにしている。

それでもじっと見上げていたら、やがてあきらめて、ぺこりと頭を下げた。