「やってみてよかったな」

「お前はアホか!」

ブツブツと文句をいうだけで、何も手伝おうとしない山崎を無視して、俺は材料を集めることにした。

まずはマシン本体の機械部品だ。

絵に描くだけなら紙に線を引けばよかったけど、どうすんだ? コレ。

「なぁ、山崎」

「俺は何にも手伝わないからな、絶対に、何にも、だ!」

1年軍団には喜んで混ざりこんでいたのに、いざとなったらこれかよ。

「1年は手伝って、どうして俺は無視なんだよ」

「あいつらは俺がいなくても完成させるだろうけど、お前は一人では完成させられないからだ」

は? 意味が分からん。

逆じゃね? 

俺が不思議そうに首をかしげると、山崎は得意げな顔で言い放った。

「つまり、俺は黙って見ているだけで、参加も出来て成功も手にする。お前だと、そうはならない」

すぐ真横にあった椅子を、コイツに向かって放り投げてやろうかと思ったけど、残念、理科室の椅子は、床に固定されていて動かない。

「やっぱそうだよな、お前の本性って」

「ははは、これが自然の摂理というものだよ、吉永くん」

だかしかし、俺にも秘策はある。

「ときに山崎くん、これを見たまえ」

俺はノートパソコンの画面を、山崎の方に向けた。

「これが何か分かるかね?」

俺のような手書きではなく、細かいフォントサイズでびっしりと打ち込まれた文字と、なんのソフトかは分からないけど、単なるペイント的な作画ツールで描かれていないっぽいマシンの設計図、これは鹿島たちが提出した、企画書の中身だ。

「これを参考に進めれば、我々にも制作は可能ではないかと思われるのだが、どうする?」

山崎の目は、画面にくぎ付けだ。

「はー、よく出来てんなぁ」

続けざまに、俺の企画書を手に取る。

「次元が違う」

「これを参考に改良していけば、俺たちにも作れるってこと」

「なるほど」

盟友山崎がにっと笑った。

ハイタッチを交わす。

俺たちの挑戦が始まった。