授業なんてものは、そもそも身に入らないものだが、今日の俺は一段とやる気がおきない。

いつものことじゃないかと言われれば、いつものことかもしれないけど、とにかくやってらんない。

ロボットが好きだ。

プログラミングも好きだ。

機械いじりも好きだし、工作も好きだ。

細かい作業とかだって、いくらでも出来る。

何度でも言おう。

俺は、電子制御部が好きだ。

じゃなきゃこんな名前の部活になんて、入らないだろ。

普通に。

後輩には入って来てほしい。

俺にだって、仲間とワイワイ楽しく過ごす未来がほしかった。

ほしかったっていうか、ほしいし、実際にそうするつもり。

このまま山崎なんかに、おいしいところを全部持っていかれたくはない。

一晩考えて、俺は俺なりに反省してきた。

何にも考えていないわけじゃない。

鹿島のことは、本当に見てくれだけの外見から判断してるって、分かってる。

人を見た目で判断しちゃあいけない。

あいつはいい奴だ。

それが分かっているから、多分余計にムカツク。

窓から運動場を見下ろすと、1年が体育をしていた。

すぐに鹿島の姿を見つけて、ため息をつく。

どんだけ意識してんだよ、俺。

5月の空はどこまでも澄み渡っていて、その青く高く晴れた空と自分を比べて、またがっくりと落ち込む。

純粋にきれいなものが、ただそれだけで嫌になったみたいだ。

教科書にならんだ文字のなかから『の』の文字を探し、その隙間をシャーペンで塗りつぶしている俺は、本当にくだらない。

同じ教室の隅には、山崎が座っている。

昨日のことがあってから、まだ一言も口を利いていない。

どうしようかとは思っているけど、まだどうしようか考えていない。