「なんであいつらと仲良くすんだよ、先輩風吹かしやがって。キモイよお前」

「そんなつもりでやってんじゃねーよ」

「じゃあ、どんなつもりなんだよ」

「どんなつもりもないって」

「ぜってーウソだ。年下の1年相手に偉そうにして、何が楽しいんだよ」

山崎は「はぁー」と、長いため息をついた。

「お前もさ、なんでそんなに1年を嫌うわけ? まともに話したことだってないだろ。ちょっとは話してみたか? どんな奴らかも、分かってないだろ」

そんなの、わざわざ相手にしなくたって、見ただけで分かる。

真面目くさった態度に、表面だけを取り繕った言動、本当に俺と仲良くやろうなんてつもりは、毛頭ない。

早くお前の方から出て行けよって、そういう雰囲気を、猛然とかもし出しているじゃないか。

「あいつらが俺らに、本当に懐くわけないだろ」

「そんなことないって」

俺はその山崎の、あまりにもバカで楽観的で頭の悪い言動に、本気で呆れ始めている。

「そんなの、分かんないじゃないか」

山崎は、にやりと笑った。

「懐いてほしいなら、自分から仲良くすれば?」

「はぁ!?」

冗談じゃない。

俺は『友達』を作るために、山崎と仲良くなるために、自分を曲げたことも媚を売ったことも、一度だってない!

「そこまでして、『先輩』になりたいか?」

「まぁ別に、ほっといてもそのうち仲良くはなってくるだろうけどな。無理しなくても、自然に」

山崎は面倒くさそうに、頭をボリボリと掻いた。

「だけどまぁ、どうせなら楽しい方がいいだろ?」

どうしてそう何事も都合よく、うまくいくという前提に立って考えられるのか、俺にはやっぱり理解できない。

「先輩なんて、嫌われてなんぼだろ」

「お前だって、谷先輩のこと、好きじゃないか」

言葉に詰まる。

そんな例外を出すなんて、反則技だ。

あの人を引き合いに出されたら、俺だって黙るしかない。

だけど、谷さんは特別だ。

「あの人は、いい人だから」

「お前もそうなりたくない?」