週明けの月曜日、理科室に一人でいた俺のところに飛び込んできたのは、鹿島と一年の女子だった。

「部長、出来ました!」

何の疑いもなく、まっすぐに向けられるその視線と気持ちとが、気持ち悪い。

「あぁ、あとでチェックしておくよ」

受け取ったその紙を、この場で破らずにおいてやっただけでも、ありがたく思え。

後で紙飛行機にでもして、飛ばしてやる。

受け取った年間計画書を裏面に置くのを見て、鹿島と、彼にくっついて来ただけの女の子の顔が曇った。

「あの、提出期限があって……」

「あ、そうなの?」

ちらりとだけ紙をめくって、すぐに伏せる。

確かに、今週の水曜日が期限になっていた。

明日、明後日だ。

「あぁ、間に合うからいいんじゃない? 別に」

「間に合いますか?」

「うん、出しとくよ」

ついてきた女の子は、不安そうに鹿島を見上げた。

なんだこいつら、つき合ってんのか? 

それとも、一方的に鹿島のことが好きなだけ?

「じゃあ、お願いします」

そのまますぐに帰るのかと思ったら、二人はそこにあった椅子に腰掛けた。

小声でぼそぼそと何かを話している。

これじゃあ、こっそりこの紙をポケットに隠したり、改ざんしたりすることも出来ないじゃないか。