第3会場、そのフィールド横に、鹿島たちは並んでいた。

「先輩、どこに行ってたんっすか」

さっきまでの出来事が、なんでもなかったかのように、鹿島は俺を心配している。

「探しに行こうかと思ってたんですよ」

俺はそれには応えず、黙ったままマシンを計量器の上に乗せた。重量クリア。

当たり前だ。

「では、出場メンバーのかくに……、二人でよかったですか?」

審査員は、俺たちを見下ろして言った。

「はい、大丈夫です」

俺の隣には山崎がいる。それでいい。

「俺にも、手伝わせてください」

「出場者の二重登録は出来ませんよ」

鹿島の申し出は、あっさりと却下される。

そんなの、分かってたことじゃないか。

コイツはやっぱりバカか。

「じゃあ、俺が出ます」

谷先輩が肩にかけていた鞄を外し、鹿島に渡した。

「吉永、いいだろ?」

「いいんですか?」

スターティングゾーンに、谷先輩が入った。

先輩の大きな手が、俺と山崎の背中をバシンと叩く。

「痛いですって」

その言葉に、谷先輩はムッとした。

「うるせー、お前ら、根性見せっぞ」

俺は無言のまま、審判席のタイムカウンターをにらみつけていた。

やがてその時計が、『0:00』を指す。

谷先輩に叩かれた背中が痛い。

「終了です。撤収してください」

目の前で繰り広げられる、ドタバタ劇を見ている気分だ。

新たに出現したフィールドに、審判員の声が響く。

「準備、スタート!」

「おい、どうすりゃいい?」

今回が初参加の谷先輩に、出来ることなんて何もなかった。

「このラインに合わせて、レールを敷いて下さい。端っこはテープで留めて」

俺はマシンを箱から取り出した。

俺たちに測定なんて必要ない。

最初からフィールドの一番端の線に合わせて、シリンダー出力を調整している。

俺たちのマシンは、手動コントロールだ。

最初は有線リモコンを使っていたが、その後ルールをよく見てみたら、有線は認められていないということが分かって、慌てて無線に変えた。

だけど、プログラムはそのままにしてあるので、的からの距離もこのままでいい。