順調な滑り出し。

一本目の的を、予定通り撃ち抜く。

体育館のつるつるとした床の上で、小さなマシンは戦っていた。

鹿島たちの、この半年間の分身だ。

丁寧に、かつ正確に、マシンは的を撃ち抜く。

6点目が入った。

カツンと勢いよく的に当たってはね返った弾は、その繊細なマシンを直撃した。

そのとたん、マシンの的中率が、一気に落ちる。

ほんのわずかなズレが、全てを狂わせた。

ずれた位置情報を修正するプログラムを積んでいなかったのか、マシンはずれた場所から、弾を吐き出し続ける。

この大会では、リトライは認められていない。

ついにマシンは、センサーで的の位置も拾えなくなったのか、完全に動きを止めてしまった。

審査員席のタイムカウンターだけが、無残に突き進んでゆく。

永遠に続くかと思われた瞬間に、甲高い笛が鳴り響いた。

「終了! 撤収をお願いします」

どうすることも出来なかった。

たったの2分、120秒間の勝負。

鹿島たちの半年に、俺たちは何の手出しをすることも許されない。

撤収時間をオーバーすることも、失格の対象となっていた。

鹿島はそこに置かれたマシンを抱き上げると、1人審判席に向かって頭を下げる。

「ありがとうございました!」

温かい拍手が、それはそれはとても温かく優しい微笑みが、辺りを包んでいた。

鹿島は泣いていた。

だけどすぐにそれを振り払って、にっこりと微笑む。

次のチームにその場所を譲って、会場の外へ出た。

それに合わせて、仲間たちも移動する。

彼らは鹿島たち3人に、何と言っているんだろう。