第6会場横に集まった1年軍団は、それぞれ鹿島たちに声をかけあっている。

励まし合い、たたえ合い、激励する、実に麗しい光景だ。

俺は両腕に段ボールを抱えたまま、そんなどこか遠くの物語を、ぼんやりとながめている。

よく分からないけど、山崎も自らその中に突っ込んでいって、なんとなく自分では混ざっているつもりになっているらしい。

俺にはどう見たって、余計なお邪魔分子にしか見えないけどな。

「おぅ、間に合ったな。見にきてやったぞ」

「谷先輩!」

制服姿の大きな体で現れたのは、谷先輩と、去年の部員だった他2人の先輩だった。

谷先輩と目があい、駆け寄ろうとした瞬間、谷さんの手が、鹿島の肩におかれた。

いつの間に仲良くなったのか、鹿島と先輩たちは、親しげに言葉を交わしている。

本来なら、そこに俺が入らなければ、繋がることのなかった関係であるはずなのに、いつの間にかそんなことまで、完成されていたんだな。

山崎が谷先輩に声をかけた。

鹿島たちの周りで、先輩と後輩たちの美しい対話の画が出来上がる。

そうか、あぁ、そういうことか。

何を勘違いしてんだ。

俺はホント、くだらない生き物だな。

視線を競技が行われている、第6会場に移した。

いま集中しなければいけないことは、予選会に勝つことだ。