鹿島たちのマシンは、計算通りだった。

正確に計られたゼロ位置から、面白いように次々と的を撃ち抜いてゆく。

これが科学技術の粋だとでも言わんばかりの勢いで、計算通り、予想通り、期待通り、思い通りに、完璧に動いた。

こいつらと俺の違いは、なんなんだろう。

環境? 性格? 努力? 

鹿島の端正な横顔が、満足げに微笑み、仲間たちはそれに呼応するように、賞賛かつ絶賛した。

点数は28点。

外した2回は、複数の的が同時に上がったときに、マシンの反応が間に合わなくて、的の方が先に引っ込んでしまったための、失点だった。

2分という長い長い競技時間が終わって、歓声と拍手に包まれる。

いつの間にか来ていた谷先輩は、鹿島に声をかけた。

初対面だと思っていたのに、そうでもなかったらしい。

鹿島はわざとらしくかしこまって、谷先輩に丁寧に挨拶をし、先輩は彼を大絶賛していた。

世界は俺の計算通りにはいかないし、何事も思い通りにはならない。

頭で分かってはいるけど、それを知るのは、辛い。

この場から今すぐにでも逃げ去ってしまいたい。

だけどそうすると、本当に自分が負け犬になるような気がして、ここに踏みとどまっている。

「やっぱすげぇな、お前ら」

俺はにっこりと微笑んで、手を叩いた。

すぐにそこにいた全員から、温かい拍手がわき起こる。

鹿島はうれしそうに、顔を赤らめる。

「予選会、楽しみにしてるからな」

そうやって彼の肩をポンと軽く叩く。

鹿島は本当にうれしそうな顔をする。

「はい。ありがとうございます!」

ここまでは全て、俺の予想通りなのにな。