携帯の画面をホーム画面に変えてから、私も教室を見渡した。
誰もいない暗い教室に春斗と二人でいると思うと胸が騒ぐ。
「これ」
 私の心を読んでいるかのように、春斗は短い言葉とともに私の前に携帯を差し出す。
そこには真っ暗な夜空に何色もの光が心の光を与え、幻想的な空間を作り感動をさせるイルミネーションの写真が映っていた。
携帯越しでその光と感動を覚えるのだからきっと近くで見たら心を幸せな明るい気持ちにさせてくれるのかもしれない。
「すごい……」
 イルミネーションに感動した私。
でもただのイルミネーションではないことに心を奪われる。
地面いっぱいに敷き詰められた光の花。
大きなステンドグラスのように見える景色の中に光のバラ。
最後に見たのは敷地の広い場所に数えきれないほどの光の花が垂れ下がり、今にも降ってきそうなほど揺れているのが写真でもわかる。
イルミネーションに魅了された私は画面に吸い込まれるようだった。
「携帯の写真、整理してたらこの写真出てきて、花が好きなら見せようと思って」
 春斗が少し赤くなっているのは光のせいだろうか。
でも春斗の柔らかい微笑みは花と同じくらい心を落ち着かせてくれる。