近くで春斗の顔を見た時に一つ気づいて言葉に出した。
「春斗、前髪切った?」
 まるで話題に困った時に使う話のようで聞いた後から心の中で苦い顔をする。
「今更気づいたのかよ。お前が帰る時とかに切れっていうから切ったのに」
 春斗は短くなった前髪を触りながら子供のようなふてくされた顔をする。
春斗の仕草に微笑みがこぼれ、体の中が温かくなる。
「似合ってるよ。そっちの方がかっこいい」
 私が付け足すと春斗は満足そうに笑う。
春斗は時々子供らしくて、でもいつも強い味方、誰よりも心を理解する大人な春斗。
春斗に心を開いたのは当然のことのようだった。