机をまだ元の位置に戻していない教室の中、私は一番座りやすい席の椅子を取り出して座った。
片付けの後取り出した携帯の電源をつける。
アルバムを開き、フォルダを開く。
そのフォルダの中には花の写真がたくさん並んでいる。
母と暮らすようになって私は花が好きになった。
母は毎日笑顔で花に水をあげている。
笑顔の母を見ると私はいつでも心が安定していた。
離れていた分、ぶつかることもよくあるがすぐに仲直りできるのはやはりお互いが親子の認識をしているからだと思う。
花はその仲裁をするかのように私たちに話題をくれる。
花の力はすごいと感じてからは綺麗に咲いた花を写真に収めるようにしていた。
「綺麗じゃん」
 後ろから声が聞こえて、私は飛び上がるように振り返る。
振り返るとすぐ近くに春斗の顔があって少し私は身を引いた。
嫌とかではなく、胸が締め付けられるから。
照れてしまうのだろう。