制服のままリビングに入るのを拒むようになった私。
制服を着てリビングに入ると制服がいつもより重たい。
それでも潰されない自信があった。
私は強くなったから。
「お父さん」
リビングで本を見ている父を呼ぶ。
いつも父は陽気で何も考えていないと思うほどあの日から笑っている。
今日もそう。
私が話しかけることなどないのに、気にしていないかのように笑顔を見せる。
でも気にしない。私には言葉という大きな力があるから。
「夕希、帰ったか。今な、子供の名前を考えててな。この名前……」
「私、お母さんと住む」
私の言葉。その一つで父の行動と笑顔が止まる。
笑っていた顔を向けたままだったが理解してきてだんだんと笑顔が薄くなる。
「私、自分に正直でいたいの。新しい女の人。新しい子供。お父さんにとって嬉しくても私には動揺や喪失感しか生まれない」
父の顔に笑顔がなくなっても前の私みたいに涙は出ない。
泣く必要なんてないんだから。
「お父さんが今の生活を楽しんでいるように私も私なりの楽しい生活をしたいの。そのための一歩で私はお母さんのところに行く」
父はずっと私と目を合わせなかった。
私を映さないその目にどんな感情があるのか私はまだわからない。
でもきっといつかわかる日が来るのだろう。私が強くなったのと同じように。
「好きにしなさい。行きたいならそれ相応の支度をしなさい」
父は見ていた本に視線を戻して私に言う。
終わりは最悪の別れかもしれない。
親子の仲ではないかもしれない。
でもそれでいい。
私は私の人生を歩む。
制服を着てリビングに入ると制服がいつもより重たい。
それでも潰されない自信があった。
私は強くなったから。
「お父さん」
リビングで本を見ている父を呼ぶ。
いつも父は陽気で何も考えていないと思うほどあの日から笑っている。
今日もそう。
私が話しかけることなどないのに、気にしていないかのように笑顔を見せる。
でも気にしない。私には言葉という大きな力があるから。
「夕希、帰ったか。今な、子供の名前を考えててな。この名前……」
「私、お母さんと住む」
私の言葉。その一つで父の行動と笑顔が止まる。
笑っていた顔を向けたままだったが理解してきてだんだんと笑顔が薄くなる。
「私、自分に正直でいたいの。新しい女の人。新しい子供。お父さんにとって嬉しくても私には動揺や喪失感しか生まれない」
父の顔に笑顔がなくなっても前の私みたいに涙は出ない。
泣く必要なんてないんだから。
「お父さんが今の生活を楽しんでいるように私も私なりの楽しい生活をしたいの。そのための一歩で私はお母さんのところに行く」
父はずっと私と目を合わせなかった。
私を映さないその目にどんな感情があるのか私はまだわからない。
でもきっといつかわかる日が来るのだろう。私が強くなったのと同じように。
「好きにしなさい。行きたいならそれ相応の支度をしなさい」
父は見ていた本に視線を戻して私に言う。
終わりは最悪の別れかもしれない。
親子の仲ではないかもしれない。
でもそれでいい。
私は私の人生を歩む。