駅からまっすぐの道を歩き続けると新しくも古くもない静かな住宅街が並んでいた。
「もうそろそろかな」
 その言葉で私は楽しみという感情が消えていく。
その代わりに心配。不安。緊張。
いい方向に向かない気持ちばかりが浮かぶ。
「春斗」
「ん?」
 うつむいてしまう私が嫌だった。
でも一瞬誰かを頼りたかった。
「上手くいくかな……」
 うつむく私の言葉が沈黙を作る。
春斗にだって未来はわからない。
今春斗が私の横にいてくれているのも普通ではない気がしている。
それでも横にいてくれる春斗が私にとって頼りだった。
「夕希が後悔しなければそれでいいんだよ」
 頑張れとか、大丈夫とかではない中身のある助言。
自分の気持ちに向き合わせてくれる。
春斗と来てよかったと思う。