駅から出ると住宅街が見える。
二駅でもそこまで景色は変わらなかった。
「会えるといいな」
「期待せず、楽しみにしてればいいんじゃない?」
 自然とこぼれた言葉を春斗が拾うのはもう当然のことのようになっていた。
期待して裏切られた時、きっと心に大きな傷を負うだろう。
でも楽しみは期待よりも漠然としている。
傷を負う深さが違うということだ。
春斗の言葉はいつも筋が通っていてどこか尊敬できるところもあった。
最初に会った時とは大違いだと思う。
「携帯で見ると駅からまっすぐ歩いた方がいいからこのまま行こう」
 携帯でマップを見ながら歩き始める春斗を私は追いかけた。