月曜日。
その曜日は私にとって特別な曜日になっていた。
私は壁にもたれかかる。
その壁は資料室の壁。
いつも通り温かいこの場所に誰もいないのは不思議なくらいだった。
「ねえ、上手くいくかな？」
　その声を聞いてると教えるように寄りかかる背中を壁が温める。
「君の望みは見つかったみたいだね」
　いつも通りの声に安心を覚える私は自然と次々に言葉が浮かぶ。
「望みを叶えるって大変だってわかった。まだ上手くいくかわからないけど、それでも行動しようって思ってる」
「そう。行動するのが一番なんだよ。自分の気持ちを確かめられる」
　頷く私は前より成長できているような気がした。
前は何を言っているのかわからず、流れる月日に必死にしがみついていたようだった。
それでも今は自分の思いをわかって自分の姿を心の鏡で見れているような気がしていた。
「自分の大切な思い。大事に心に刻むんだ。君ならできる」
　力強い言葉は私の胸に響いてくる。
心に刻む……
胸に手を当て静かに鼓動を感じる。
「これから私がしようと思っていることわかってる？」
「残念ながらこれから先のことは……」
「言えないのか。言ったらまた成長しないからだよね」
　自分の未来を知りたいというのが本心なのかもしれない。
でも自分の力で成長することの大切さを私はわかってきている。
「頑張ってね」
　私の心の中の決意を聞いて安心したように壁の温かさが消えていく。
「頑張るよ」
　届かないことを知っていても宣言したかった。
頑張る私を見守ってくれているような気がしていたから。