日曜日。
冷たいお茶がのどを通ると澄んだ気持ちになる今の季節。
自分の部屋でそのお茶を飲みながら机に向かってペンを走らせる。
昨日に引き続いて今日も父たちはいない。
家は静かで私が出す物音以外は聞こえない。
頭が重くなってきてペンを置くと、どうしても下を向いてしまう。
自分の手を見つめながら昨日の春斗の温もりを思い出す。
あの手はどうして私に力をくれるのか 。
そう思っているうちに春斗の言葉が思い浮かぶ。
「私の本音……」
 母に会いたいのはわかっていたようでわかっていなかった。
それが本音で自分のまっすぐな心だと確信したのは昨日のことだった。
その本音を思い出すと鎖で繋がっていたようにもう一つ言葉が思い浮かぶ。
「私の望む生活か……」
 それはあの壁の声が言ったこと。
自分が行動しなければ始まらない。
そう私に伝えた。
二つの言葉を胸に私は部屋を出た。