部屋には母が好きだった本がたくさん並んでいる。
その本を一つずつ指でなぞると一番隅に何も書かれていない大きめの冊子を見つけた。
その冊子を取り出して中身を見ると表現ではなく本当に息が詰まった。
そこにはあの日以来見ていない母と私が写っている写真がたくさん並べられていた。
私は最近まで忘れていた元気で心から楽しむ笑顔をして母の近くにいる。
母も楽しそうな顔をして私を優しい目で見つめていた。
ページをめくる度、手が震えて息が荒くなる。
気づけばページに涙が落ちている。
そのアルバムは所々に貼られていたものがはがされたような跡があった。
それは最後のページも一緒だった。
アルバムの最後のページ。
そこにははがされた写真の跡とポケットに挟まれている封筒があった。
ゆっくりとその封筒を開けると、母の字がたくさん刻まれた便せんが入っていた。