先ほどまで笑っているようにしかとらえられなかった風が今では包まれているように感じて私は少しずつ言葉をこぼす。
その言葉に二人はゆっくり頷いて聞いてくれた。
でもその内容は私たちには重すぎる内容。
さすがに返す言葉も対応もわからないというのは理解していた。
それでも一つ。
私の中に深く刺さった棘があった。
「もうお父さんの中に私はいない。あの人とこれから生まれてくる子供で私のいた場所は埋められちゃった……」
 悲しい。寂しい。疎外感。軽蔑。
いろいろな感情が混ざって受け止めきれない私はため息交じりの言葉を吐く。
二人は黙って聞いてくれた。
それがかける言葉が見つからず聞くという選択肢を選んだとしても私はそれだけでよかった。