重たい鞄。重たい足。苦しい胸。
全てを抱えて家の前にたどり着く。
そこには『小倉』の表札。
何度も捨てたかったこの苗字。
でもこの苗字が私に寂しさを感じさせるのは嫌な予感だった。
最近の春斗は家までいつも送ってくれていた。
その春斗がいないだけでこんなにも気持ちが変わってしまうのは私が弱いからなのか。
ただ用事があるだけで杏夏と帰っているのはわかっている。
でも一人きりにされてしまったようで心細くなっている。
玄関の扉を開けると父の靴の隣に女性用のスニーカーが並んでいる。
派手なヒールを見なくなって私は一度嬉しくなっていた。
でも同じ人の靴であることに変わりがないと気づけば嬉しくとも何ともなかった。
いつも通り何も言わずに玄関の扉を閉めて自分の部屋に行こうと階段を上ろうとした。
「夕希」
リビングの扉が開いた瞬間、何かが心の中を走る。
それは決していいものではなかった。
全てを抱えて家の前にたどり着く。
そこには『小倉』の表札。
何度も捨てたかったこの苗字。
でもこの苗字が私に寂しさを感じさせるのは嫌な予感だった。
最近の春斗は家までいつも送ってくれていた。
その春斗がいないだけでこんなにも気持ちが変わってしまうのは私が弱いからなのか。
ただ用事があるだけで杏夏と帰っているのはわかっている。
でも一人きりにされてしまったようで心細くなっている。
玄関の扉を開けると父の靴の隣に女性用のスニーカーが並んでいる。
派手なヒールを見なくなって私は一度嬉しくなっていた。
でも同じ人の靴であることに変わりがないと気づけば嬉しくとも何ともなかった。
いつも通り何も言わずに玄関の扉を閉めて自分の部屋に行こうと階段を上ろうとした。
「夕希」
リビングの扉が開いた瞬間、何かが心の中を走る。
それは決していいものではなかった。