家に帰る道はこんなにも堅くて暗いものだったかと黙って歩く。
堅い地面が私の足の裏を刺激する。
横で春斗が杏夏にからかわれて楽しそうに会話しているのを私は黙って微笑んでいることしかできなかった。
「夕希、今日は用事があって北原と同じ方向に行くからここで」
 二人はバス停の近くで足を止めた。
「そっか」
 最近の二人を見ていると二人は相性がいいように見える。
もしかしたら私は邪魔になっていくのかもしれない。
それでも作り笑顔でその場を乗り切り、二人から離れるしかない。
「じゃあまたね」
「うん」
 二人は私を見て頷く。
その二人に背中を向けるのは私の心にもう一度穴を開けるようだった。