寂しいような悲しいような下校時刻を告げる音楽が少し離れた学校で鳴っている。
いつも通り勉強をした後、三人でこの帰り道を歩いた。
二人がいつもそばにいてくれるのは私にとって救いだった。
この時間が止まればいいと思うのは何回目だろう。
流れる月日が私を苦しくしているようだった。
「夕希?」
 気づけば春斗と杏夏が私の顔を覗いている。
我に返った私はうつむいていた顔をあげた。
「大丈夫か?」
 春斗と杏夏の言葉に作り笑顔をしようとする。
でも、その気持ちを振り払って私は一度深呼吸をして二人を見た。
「聞いてほしいことがあるんだ」