そんな普通の会話で笑っている私たちは学校の校門を出た。
「杏夏!」
杏夏を呼ぶ声がして私たちは歩みを止める。
春斗でも私でもない声。
男の人の声だった。
春斗と私は周りを見るが、杏夏は黙って下を向いている。
もう一度声のした方を見ると、私たちの学校ではない同い年くらいの男子が立っていた。
何も言わない杏夏を見て私たちは察した。
この人が杏夏の恋する相手だと。
振り向かない杏夏はその声が誰だかを知っている。
だから杏夏は振り向かない。
いや、振り向けないんだ。
「杏夏」
その男子が近づいてくると杏夏は黙ったままその場を去ろうとした。
その杏夏の腕を私ではなく春斗が掴んだ。
「お前、このままだと後悔するぞ。しっかり話してこい。俺らは前の公園で待ってるから」
春斗の真剣な眼差しを感じたのか杏夏も顔をあげてやっと振り向く。
その目は複雑な感情が杏夏の中にあることを示しているように曇っていた。
「杏夏、待ってるね」
不安で募る感情をしまって私は杏夏を安心して話せるように笑顔を見せた。
「ありがとう」
その時の杏夏は決意をしたように前を向いて微笑んだ。
「夕希、行くぞ」
先を歩く春斗を追いかけて私は杏夏と別れた。
「杏夏!」
杏夏を呼ぶ声がして私たちは歩みを止める。
春斗でも私でもない声。
男の人の声だった。
春斗と私は周りを見るが、杏夏は黙って下を向いている。
もう一度声のした方を見ると、私たちの学校ではない同い年くらいの男子が立っていた。
何も言わない杏夏を見て私たちは察した。
この人が杏夏の恋する相手だと。
振り向かない杏夏はその声が誰だかを知っている。
だから杏夏は振り向かない。
いや、振り向けないんだ。
「杏夏」
その男子が近づいてくると杏夏は黙ったままその場を去ろうとした。
その杏夏の腕を私ではなく春斗が掴んだ。
「お前、このままだと後悔するぞ。しっかり話してこい。俺らは前の公園で待ってるから」
春斗の真剣な眼差しを感じたのか杏夏も顔をあげてやっと振り向く。
その目は複雑な感情が杏夏の中にあることを示しているように曇っていた。
「杏夏、待ってるね」
不安で募る感情をしまって私は杏夏を安心して話せるように笑顔を見せた。
「ありがとう」
その時の杏夏は決意をしたように前を向いて微笑んだ。
「夕希、行くぞ」
先を歩く春斗を追いかけて私は杏夏と別れた。