未来の春斗は声のせいか柔らかい雰囲気。
顔をあげて思ったこと。
本当に春斗の未来なのかわからない。
その春斗が教えてくれたのは私の未来。
私は未来の春斗のおかげで生きるという道を知った。
でも一つだけ疑問が残った。
「ねえ」
 視線を落としていた未来の春斗が私の目をゆっくり見る。
「どうして春斗が私の未来を変えに来たの?」
 聞かれたくなかった。
そう思っているのは顔の筋肉の動かし方でわかった。
それほど動揺することがあるのか。
一度も目を合わせず、言葉を選んでは捨てているように感じる。
いつ、この会話が終わってしまうかわからない中、私は一向に目を合わせない未来の春斗の目を見た。
「知らなくていいんだよ」
 やっと出た言葉は答えにならない。
「それじゃわからないよ」
 眉間にしわが寄るのを感じた。