「あれだな、変なヤツだったな。」
ルイは 石のベンチに
骨壷と 座りながら 、前方の風景を 只、見ているような 風にしながら、
隣に座る シオンに投げ掛けた。
「そーだねー。変なひと、だよねー。」
シオンも 同じく、
石のベンチに 座りながら、目の前の車寄せの向こうに広がる 田園を、只 眺めているように、
隣のルイの問いかけに、応じた。
シオンの 向こう隣には、
石のベンチに 仰向けに体を横たえた、レンが 片腕で、顔を覆っている。
レンとシオンの 間には、
『若い叔母の遺影』が 立て掛けられていた。
晴天の空の下に、斎場の門の向こうには、春の田園と、太陽に水面を、白光する水の風景が開けている。
レンが助手席に乗った 霊柩車は、琵琶湖畔の 斎場に、シオンとレンを先導した。
式場にも 最近の傾向に、
驚かされたシオンだったが、この斎場にも 驚いた。
ちなみに 最近は、火葬場ではなく、『斎場』とか言うらしい。
「この『斎場』?ってゆーのも、驚いたけどねー。」
シオンは、さらに 言葉を重ねた。
「こんなに、里棟モダンな外観なのも、ちょっとした オリエンタル石室みたいな 内装も。お洒落なんだねー。イメージ変わるよ。」
そうは言いつつも、
シオンとルイは、視線を交わす事なく、前の田園風景を 見つめていた。
「どっかの、リゾートホテルグループ、やってそうだもんなぁ。Japanテイストとかいってよ。」
湖畔に佇む、3棟の低層モダンな建物が各々、
火葬炉棟、
告別・収骨室棟、
控えホール棟に なっている。
シオン達は 直葬なので、火葬炉棟の、それこそ炉前室で、全て終わらせた。
炉前室で 『納め式』を行なって、その時間まで待つ。
そして、また炉前室で 『骨拾い』を、さっき までしていたのだ。
「なんだな、雪だな、雪で、停電中、つー、せいだろうな。」
ルイは チラリと、自分と シオンの間に横たわる レンを 見舞って言った。
結局、今も 停電続行中だ。
幸いにも、火葬炉は 高温都市ガスで稼働に、問題はなかった。
ただ、他は昨日の夜と同じ状況になる。
本来なら 『焼き終わる』まで、端の控えホール棟で 、アナウンスがあるまで 親族は待つ。
けれども、シオン達は 停電による 照明と、暖房のストップで、またもや、 ダルマストーブで 暖を取りつつ、 炉前室で 待つ事になったのだ。
その際、式場から段ボールごと 貰ったカイロが 役に立った。
いろいろ役立つカイロだ、と シオンは ニヤリとして思う。
「昨日から、ダルマストーブに、好かれているよな。」
そう言って、ダルマストーブに乗せられた、薬缶を見つめて レンは面白そうに目を細めていた。
控えホール棟では、丁寧な事に、簡単な ポット茶と、焼菓子が要因されているらしい。
が、停電の為 ポットも使えないからと、薬缶にお湯を点てて、紙コップを用意してくれた。
これが、駄目だったのかも?と、シオンは追想した。
「すいませんっ、雪で停電な上、職員が遅れてましてっ。」
暫くして 奥から出てきた、若い火夫?が 説明らしき 言葉を、掛けてきた。
「本当は、前室を預かる係がいるんですがっ。雪で、遅れてまして。」
と、あまりに、1人で対応していそうな感じに、シオンが気の毒になってしまった。
だから、ダルマストーブのお茶受けに、鞄から忍び出した『丁稚羊羹』の笹の葉を開けたのだ。
確かに、あんなとこで、ちょっとどーかなと、思ったんだけどさ。
それが、餌付けになったのかもしれない。
シオンが、つらつら思っていると、
「ちたぁ、1人は、今日、大変だな。火夫?のやつ。」
ルイが、呟く。
そうなのだ、若い 職員は、自分を
「 まだ 新米で、中の所作にしても、先輩にまだ 追い付かないですよ。」
と、ダルマストーブの前で 話ていた。
『中の所作』?。
最初、聞いた時 シオンは、 かなり 目を細くした。
やれ、
「停電はしているが、ガスで対応出来るので そこは、いつもと変わらず、安心してください。」
とか、
「自動電動は、手動という 貴重な体験を積めました。」
とか。
「『中』の後、自分が 骨上げの方に すぐ参ります。いつもは、先輩が説明させてもらうんですけど。」
とか、いいながら
『中の所作』なんだろう、暫くした 戻って行った。
シオンは、炉前室で、待つ間
懸命に、『中』で棒を操る 火夫の姿を 思っていた。
「ここ、3基ぐらいあったよねー、釜、大変だよねー。」
シオンが呟く。
「…釜じゃねーだろ。炉だろ。
火夫?ったか? なんだか、あけちゃいけねーモン、開けた気分だぁな…」
それは、全く同感だと思って、さっきの事を 思い出す。
まだ 横たわる レンの髪は、湖畔からの 風を受けている。
シオンは そんな レン を見舞って 、
お蔭で、
『救われた』と 晴天の 空を見上げた。
ルイは 石のベンチに
骨壷と 座りながら 、前方の風景を 只、見ているような 風にしながら、
隣に座る シオンに投げ掛けた。
「そーだねー。変なひと、だよねー。」
シオンも 同じく、
石のベンチに 座りながら、目の前の車寄せの向こうに広がる 田園を、只 眺めているように、
隣のルイの問いかけに、応じた。
シオンの 向こう隣には、
石のベンチに 仰向けに体を横たえた、レンが 片腕で、顔を覆っている。
レンとシオンの 間には、
『若い叔母の遺影』が 立て掛けられていた。
晴天の空の下に、斎場の門の向こうには、春の田園と、太陽に水面を、白光する水の風景が開けている。
レンが助手席に乗った 霊柩車は、琵琶湖畔の 斎場に、シオンとレンを先導した。
式場にも 最近の傾向に、
驚かされたシオンだったが、この斎場にも 驚いた。
ちなみに 最近は、火葬場ではなく、『斎場』とか言うらしい。
「この『斎場』?ってゆーのも、驚いたけどねー。」
シオンは、さらに 言葉を重ねた。
「こんなに、里棟モダンな外観なのも、ちょっとした オリエンタル石室みたいな 内装も。お洒落なんだねー。イメージ変わるよ。」
そうは言いつつも、
シオンとルイは、視線を交わす事なく、前の田園風景を 見つめていた。
「どっかの、リゾートホテルグループ、やってそうだもんなぁ。Japanテイストとかいってよ。」
湖畔に佇む、3棟の低層モダンな建物が各々、
火葬炉棟、
告別・収骨室棟、
控えホール棟に なっている。
シオン達は 直葬なので、火葬炉棟の、それこそ炉前室で、全て終わらせた。
炉前室で 『納め式』を行なって、その時間まで待つ。
そして、また炉前室で 『骨拾い』を、さっき までしていたのだ。
「なんだな、雪だな、雪で、停電中、つー、せいだろうな。」
ルイは チラリと、自分と シオンの間に横たわる レンを 見舞って言った。
結局、今も 停電続行中だ。
幸いにも、火葬炉は 高温都市ガスで稼働に、問題はなかった。
ただ、他は昨日の夜と同じ状況になる。
本来なら 『焼き終わる』まで、端の控えホール棟で 、アナウンスがあるまで 親族は待つ。
けれども、シオン達は 停電による 照明と、暖房のストップで、またもや、 ダルマストーブで 暖を取りつつ、 炉前室で 待つ事になったのだ。
その際、式場から段ボールごと 貰ったカイロが 役に立った。
いろいろ役立つカイロだ、と シオンは ニヤリとして思う。
「昨日から、ダルマストーブに、好かれているよな。」
そう言って、ダルマストーブに乗せられた、薬缶を見つめて レンは面白そうに目を細めていた。
控えホール棟では、丁寧な事に、簡単な ポット茶と、焼菓子が要因されているらしい。
が、停電の為 ポットも使えないからと、薬缶にお湯を点てて、紙コップを用意してくれた。
これが、駄目だったのかも?と、シオンは追想した。
「すいませんっ、雪で停電な上、職員が遅れてましてっ。」
暫くして 奥から出てきた、若い火夫?が 説明らしき 言葉を、掛けてきた。
「本当は、前室を預かる係がいるんですがっ。雪で、遅れてまして。」
と、あまりに、1人で対応していそうな感じに、シオンが気の毒になってしまった。
だから、ダルマストーブのお茶受けに、鞄から忍び出した『丁稚羊羹』の笹の葉を開けたのだ。
確かに、あんなとこで、ちょっとどーかなと、思ったんだけどさ。
それが、餌付けになったのかもしれない。
シオンが、つらつら思っていると、
「ちたぁ、1人は、今日、大変だな。火夫?のやつ。」
ルイが、呟く。
そうなのだ、若い 職員は、自分を
「 まだ 新米で、中の所作にしても、先輩にまだ 追い付かないですよ。」
と、ダルマストーブの前で 話ていた。
『中の所作』?。
最初、聞いた時 シオンは、 かなり 目を細くした。
やれ、
「停電はしているが、ガスで対応出来るので そこは、いつもと変わらず、安心してください。」
とか、
「自動電動は、手動という 貴重な体験を積めました。」
とか。
「『中』の後、自分が 骨上げの方に すぐ参ります。いつもは、先輩が説明させてもらうんですけど。」
とか、いいながら
『中の所作』なんだろう、暫くした 戻って行った。
シオンは、炉前室で、待つ間
懸命に、『中』で棒を操る 火夫の姿を 思っていた。
「ここ、3基ぐらいあったよねー、釜、大変だよねー。」
シオンが呟く。
「…釜じゃねーだろ。炉だろ。
火夫?ったか? なんだか、あけちゃいけねーモン、開けた気分だぁな…」
それは、全く同感だと思って、さっきの事を 思い出す。
まだ 横たわる レンの髪は、湖畔からの 風を受けている。
シオンは そんな レン を見舞って 、
お蔭で、
『救われた』と 晴天の 空を見上げた。