真宙くんがメッセージを送ってから一時間くらい経った。
「あっ」
そのとき。
真宙くんが受信音に気付いた。
「美空からかな」
真宙くんは、さっそくスマホの画面を見た。
「美空からだ」
真宙くんは美空さんからのメッセージを見た。
どんな返事が来たのだろう。
緊張しながら美空さんからの返事を見ている真宙くんの言葉を待つ。
「美空からの返事」
真宙くんがそう言ったとき、さらに緊張感が増した。
「メッセージのやりとりだけならいいって」
「ほっ……本当にっ、真宙くんっ」
よかった。
「本当だよ」
よかったぁ~‼
メッセージのやりとりだけでも美空さんと繋がれる‼
「あっ、そうだ、希空ちゃんの連絡先、美空に伝えておくね」
「うん、ありがとう、真宙くん」
「あっ、そうだ、これ、美空の連絡先」
真宙くんは美空さんの連絡先を教えてくれた。
「ありがとう」
これで、一歩前進……かな……。
少しずつ、少しずつでいい。
ほんの少しずつでも前進できれば、それだけで大きな一歩。
「希空ちゃん」
真宙くんが少しかしこまった感じで私の名前を呼んだ。
「美空のこと、よろしくお願いします」
真宙くん、ものすごく丁寧。
「真宙くんっ、そんなご丁寧な……っ」
「妹が希空ちゃんにお世話になるんだよ。
せめてこれくらいは言いたくて」
「美空さんのことをお世話だなんて、そんなこと……っ」
「ありがとう、希空ちゃん。
本当に希空ちゃんは気遣いがあって思いやりがある子だね」
気遣いがあって思いやりがあるのは真宙くんの方だよ。
「そんな、私なんか……」
「そんなことはない。希空ちゃんは気遣いがあって思いやりがある子だよ」
「真宙くん……」
「そういえば、お腹空かない?
昼ごはん食べに行かない?」
「うん」
「それでね、昼ごはん食べた後、海が見えるところ行かない?
実は俺、もう一つ、希空ちゃんに話したいことがあるんだ」
話したいこと……?
なんだろう……。
「うん」
真宙くんのもう一つの話はなんだろう。
そう思いながら頷いた。