【side 真宙】


 俺は希空ちゃんに話を始めた。

 内容は妹のこと。

 名前は美空(みく)
 中学二年生。


 俺は約一年間、美空と口を利くことができていない。

 理由は。
 俺が美空の気持ちに気付くことができなかったから。



 今から約一年前。
 美空はイジメにあっていた。

『学校を休みたい』と言った美空に。
 俺は『逃げたらダメだ』と言った。


 その次の日。
 美空は学校を休んだ。

 美空は一年経った今でも学校に行くことができていない。


 俺が美空の気持ちに気付くことができていれば。

 美空がどういう気持ちでいるのか。
 よく知りもしないのに『逃げたらダメ』だと言ってしまったこと。

 それによって美空のことを苦しめ傷つけることになってしまったこと。

 とても後悔しているし、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


 謝りたい。
 美空に。

 そう思っても。
 なかなか行動に移すことができていない。

 そうしているうちに一年が経ってしまった。


 美空と仲直りがしたい。
 ずっとずっとそう思っている。

 でも、どうしたら美空と仲直りをすることができるのか。
 その方法が全く思いつかない。


 それでも。
 一日も早く、美空と仲直りがしたい。
 その気持ちだけは確か。

 その願いを叶える。
 そのために毎日のように美空と仲直りできる方法を考えている。



 それが希空ちゃんに話したかった話。