「なんで?」


 え……。


「なんで、びっくりするの?」


 なんで……って……。


「別に、びっくりすることではないでしょ」


 え……。


「俺は君と友達になりたいと思ったから
『友達になろう』と言っただけだよ」


 私と友達になりたい。
 それは本当なのか。
 と、少し思った。


 けれど。
 その気持ちとは反して。
 少しだけ嬉しく思っている自分がいるのも確かだった。


「青野くん……ありがとう」


 友達になりたいと言ってくれた青野くんに『ありがとう』という言葉が自然に出た。


「私なんかでよければ、よろしくお願いします」


 照れながら青野くんにそう言った。


「『私なんか』じゃないよ。
 君だから、だよ」


 青野くん……。


 そんなことを言われると、くすぐったい。


 だけど、ここは素直に喜んでもいいのかもしれない。


「ありがとう、青野くん」


「真宙」


「え……?」


「『真宙』って呼んでよ、希空ちゃん」


 真宙くん……。


 そう言った真宙くんの表情は。
 とても無邪気だった。