遊園地の中に入るとすぐに、ぐぅーとお腹の音がなる。私は恥ずかしくなり、お腹を咄嗟におさえた。

「朱里は起きるの遅かったし、朝飯食べてないよな? まずは食事が先だな。朱里、誰だって腹は減るんだからそんなに気にしなくていいぞ」

そういって軽く流してくれた。黒炎くんはパンフレットを見ながら食事できる店を探してくれた。

「よし、ここにするか!」

どうやら決まったみたいで、手を握るとすぐさま走り出した。

「ちょ……! 黒炎くん!」

走らないで! と思っていたが、黒炎くんにはそれは伝わっていない様子。

あの一件以来、ほんの少しだけ距離が近づいた。黒炎くんもちょっぴり心を開いてくれたのか、今では普通に触れてくれるようになった。

だけど、幼馴染という立場は変わらなくて。それでも黒炎くんが楽しそうにしてくれるのなら今はそれでいいやと思う私もいた。