「そこ、どいてくれぇぇぇ!」

「!?」

桜を悠長に見ていたのも束の間、目の前には迫りくる自転車。私はギュッと目を瞑り、(死ぬ)覚悟を決めた。

「間一髪、だな。そこのお前、大丈夫か!?」

「う、うん……」

ゆっくりと目を開けると、自転車は身体に触れるか触れないかの瀬戸際で止まってくれた。

(死ぬかと、思った……)

心臓の音がバクバクと鳴りやまない。心拍数が早いのが自分でもわかる。
怖さのあまり、私は腰が抜けてしまった。ペタリとその場に座る私。

自転車に乗っていた男の子は自転車を止め、私のことを心配してくれてか傍に駆け寄ってきてくれた。

「急に自転車のブレーキがきかなくなってな。
そしたら、目の前に女子が止まってるのが見えて、さすがに声上げてしまった。本当に悪かった。怪我とかしてないか?」