「朱里のスクール鞄ってこれだよな?」

「そうだけど、なんで?」

「朱里のことだから教科書持って帰るんだろ? 重いだろうから持ってやろうと思ってな」

そういうと黒炎くんは自分のスクール鞄と一緒に私のも持ってくれた。

小学生の頃はまだ子供だったのに、今では女の子に気遣いも出来るほど男の子になっていたなんて驚きだ。

「あ、ありがとう」

私達は図書室を後にした。

「それにしても19時で全員帰宅って早くない?」

「あー……。それ、生徒会長の前で絶対言わないほうがいいぞ」

黒炎くんは濁すように言葉を吐きだしたかと思いきや、次に発した言葉は力強かった。

「そういえば、図書室に行く前に会長さんと会ったんだよ。ぶつかったんだけど、自分の不注意ですって謝ってくれたし、私の怪我の心配までしてくれたんだよ。あの時は優しそうに見えたけどなぁ」

まぁ、私が「堅物会長」とか言ったせいで怒らせちゃったから声は少し怖かったけど。