「黒炎くん、これからもよろしくね。……幼馴染として」

私は握手をしようと右手を前に差し出す。

「ああ、よろしくな! またギャルゲーの話とかしてもいいか?」

「わからないことが多いけど聞くだけなら大丈夫だよ」

「朱里、やっぱりお前が幼馴染で本当に良かった。ありがとな」

「どういたしまして」

アカリちゃんにはギャルゲーの話はしないの? 

好きな人の前ではカッコいい自分でありたい。恐らくそうなんだろう。
私もそうだから、黒炎くんの気持ちが痛いほどわかるよ。

“ただの幼馴染”なんてもの今すぐ捨てたいのに……それだけが私と黒炎くんを繋ぐ唯一の関係なんて、神様はなんて残酷なことをするんだろう。