「美味しかった〜、もうお腹いっぱいで動けない」

夕食を済ませた私たちは部屋でくつろいでいた。

A5ランクのお肉、ウニとイクラのパスタ、クリスマス限定のデザートなどを堪能した。どれも私が今まで食べたことないような高級な味。というか、本当に高級なんだろうけど。

フルコースだから一つ一つの値段はわからないけど、相当高いことくらいはわかる。でも、どれを食べても凄く美味しかった。

「朱里が満足してくれたならなによりだ」

ベッドでゴロゴロしていると、隣に黒炎くんが静かに座る。

「黒炎くんはいつもああいうの食べてたの? 海外で仕事中のときとか」

「あー、まぁな。親父の手伝いの他に食事のマナーとか教養も叩き込まれた。そんなの小さい頃にしてるから今更必要ないのにな」

「えっと……ご、ごめん」

私って、本当に気が利かないというか。リラックスしてるとさらに抜けてる。