「ほら着いたぞ。あとはエレベーターに乗って最上階に行くだけだ」

「うん」

私の様子が変なのをわかっているけど、決して触れようとしない。そういう気遣いが出来ることも黒炎くんのいい所の一つだと思う。

「……なんで自分なんかを好きになったんだろうとか思ってるだろ」

「え?」

エレベーターに乗ってる間、ふと黒炎くんは呟いた。やっぱりバレていたんだ。

「そうやって、自分を下に見るのはやめろ。俺は朱里を同等だと思ってる。むしろ、俺のほうが今回は下だと思ったぞ。一人だったら親父には勝てなかった……」

「そんなことない! 黒炎くんは強いよ。だって、こんなにも……にゃ!?」

私が最後まで言葉を言い終わる前に頬をつねられた。