目的地に着くまでの間、まわりの女の子たちが黒炎くんを見て、黄色い声をあげていた。

そりゃあ、これだけイケメンだったら多少騒がれても仕方ない気がする。けど、それにくわえて御曹司だったとか、ハイスペックすぎて私とはますます釣り合わない気がする。

「きゃ!?」

こんな私で本当に良かったんだろうか……と考えながら歩いていると、バランスを崩してしまう。

「あぶねぇ! 朱里、なにか考えごとしてなかったか?」

「な、なにも」

間一髪のところで支えてくれる。だけど、私はあからさまにプイッと目をそらしてしまう。

黒炎くんが私のことを好きなのは知ってるし、これだけのことがあっても別れようともせず紅炎さんとも向き合ってくれた。だけど、心配になったり不安になる気持ちは誰しもがあると思う。

黒炎くんにはそういうのないのかな。