上手くいったのは初日だけだった。それ以降、声をかけても無視をされ、署名の紙すら受け取ってはもらえなかった。

そう世の中、簡単にはいかない。これが現実だと今になって思い知らされた。

一部では、黒炎くんが柊グループの子供ではないかという噂まで流れ始めた。私は黒炎くんが隣にいないことで卑屈(ひくつ)になり、落ち込み始めた。

頑張ろうって決めたのに……会えないことでこんなにも弱くなってしまうなんて。私は黒炎くんがいないと駄目なんだ。

けれども、毎日のように署名活動は行った。だけど、なかなか思うようには行かず、残り一週間となってしまった。

「うぅ……」

正直、泣きそうだった。

朝だけじゃなく、昼休みも放課後も署名活動をしてみたけれど、一人だとやっぱり影響力はないようで。誰も手伝ってはくれない、そう諦めかけていたとき……。