「って、黒炎君の署名なの? なら早く言いなさいよ」

「え?」

署名の紙をパシッ! と取られた。サラサラと名前を書き、私に渡す先輩たち。

「私たちは話す機会はなかったけど、黒炎君のファンクラブ会員なの。あんなにイケメンな後輩が学校を辞めるなんて嫌だもの」

「先輩……ありがとうございます!」

私は何度も深深とお辞儀をした。

あぁ、黒炎くんのことなのに自分のことのように嬉しい。紅炎さんはああ言ってたけど、柊家なんか関係なく、黒炎くんは黒炎くん自身として必要とされてるんだ。

非公認とはいえ、生徒の中には黒炎くんのファンクラブの人もいる。

これは思ったよりも時間かからないんじゃない? と、この時の私は本当に甘い考えをしていたと今になって思う。