「そうか、わかった。それなら今すぐにでも海外に行く準備をするから来い。今度とは言ったが、ほとんど準備は終わっているんだ」

「わかった。……朱里、本当は俺も署名活動を手伝いたい、俺自身のことだから。だけど手伝えない分、俺も自身に与えられた試練をこなしてみせる。だから、それまで俺の帰りを待っててくれないか?」

「これは私の試練だから黒炎くんは気にしないで。……うん、待ってる。私も頑張るから」

私たちは抱き合った。一ヶ月も会えないのだから、今のうちに会えない期間のぬくもりを一秒でも感じていたい。

意外にも紅炎さんは、それをなにも言わず、ただただ私たちを黙って見ているだけだった。