「その庶民の言う通りだ。試練を見事クリア出来たのなら交際は認める。もう別れろとは言わない。……黒炎、お前はどうする」

「俺は、親父と二人きりで海外の仕事をやるのは本当は死ぬほど拒否したい。だけど、朱里との交際を認めてもらえるなら俺も受けて立つ。……どうやら俺が思ってる以上に朱里は強いみたいだからな」

黒炎くんは私をジッと見つめる。なんだか、自信を取り戻してくれたみたいで安心した。覚悟が決まったのか紅炎さんと真っ直ぐ向き合っている。

私だって黒炎くんに、ただの幼なじみだって言われたり、女として見られてないことに何度も心を折られそうになった。

そのせいなのか、自分で言うのもなんだかおかしな話だが少しは強くなった気がする。

黒炎くんなりに紅炎さんに立ち向かおうとしているのがわかる。そんな姿はさっきの弱ってる黒炎くんとは違い、とても男らしいと思った。