「……ほう、義理の親になるかもしれない僕を叩いていいのかい?」

「朱里様、どうして……」

今のは焔さんでも黙ったままじゃいられなかったようで、私のほうに駆け寄ってきてくれた。

「焔さん、いいの。私はね、黒炎くんが……焔さんがこれ以上傷つく姿は見たくないの」

私が叩いたって血一滴すらも流すことは出来ないし、高校生の女の子の力なんてたかが知れてる。けど、反射的に身体が動いてしまった。

許せなかった。黒炎くんが今までどんな思いで生きてきたのか。それを知っていながら、あざ笑うかのように影から高みの見物をしていたんだから。