「お前ら……誰だよ」

ガタッと起き上がり、俺はどこかに行こうとする。

「待って。君、夜に一人で危ないわ」

「家に帰れってのか?」

「姉さんにそんな口の聞き方は許さない」

「いひゃい(痛い)」

俺と同じ背丈の男の子に頬をつねられた。隣にいるのが姉さんと言っているし、その弟だろうか。

「家に帰りたくない理由があるのね。君、名前は?」

「……黒炎」

名字は言いたくなかった。俺のことを知ったら、きっとコイツらも……。

「そう、黒炎君。もし君が良かったらでいいんだけど、私たちの家に来ない?」

「美羽姉さん、犬や猫じゃあるまいし……」

「困っていたらお互い様よ。ねぇ、黒炎君どうかしら。私は如月美羽(みう)、こっちは弟の紅蓮よ」