「兄貴、どうしてこうなったんだよ!」
小学5年になる少し前、俺はすでにグレていた。
「わかりませんか? 心の病です」
「そんな嘘、通用すると思ってんのか!? もう嫌だ……こんなの、耐えられない!!」
少し成長した俺はわかっていた。兄のいう言葉が嘘だということも。だけど、本当のことを言わないから、兄は心の病だと自分に言い聞かせるしかなかった。
「黒炎!」
俺はその日、家を飛び出した。毎日毎日、父が構うのは兄である焔。俺には構わなくなったし、目も合わせなくなった。兄だって、この有様だ。
柊グループの次男だと知って近づいてくる大人。友達だって、父が手をまわしていたことを知って、仲良くしていた友人も俺から避けるようになった。
嘘ばかりの世界。家庭は母の死をキッカケに立ち直るどころか壊れている。グチャグチャで汚い。誰も信用なんて出来ない。
もう……そんな世界は見たくないんだ。
小学5年になる少し前、俺はすでにグレていた。
「わかりませんか? 心の病です」
「そんな嘘、通用すると思ってんのか!? もう嫌だ……こんなの、耐えられない!!」
少し成長した俺はわかっていた。兄のいう言葉が嘘だということも。だけど、本当のことを言わないから、兄は心の病だと自分に言い聞かせるしかなかった。
「黒炎!」
俺はその日、家を飛び出した。毎日毎日、父が構うのは兄である焔。俺には構わなくなったし、目も合わせなくなった。兄だって、この有様だ。
柊グループの次男だと知って近づいてくる大人。友達だって、父が手をまわしていたことを知って、仲良くしていた友人も俺から避けるようになった。
嘘ばかりの世界。家庭は母の死をキッカケに立ち直るどころか壊れている。グチャグチャで汚い。誰も信用なんて出来ない。
もう……そんな世界は見たくないんだ。